昔から伝わる仏壇の内陣(仏壇の内部の事)は最上壇に本尊仏を安置する須弥壇という処があり、その下に位牌を安置する位牌壇(宗派によって位牌を置かない場合は余間壇(よまだん)という)が造られ、その下に供物などを置く供物壇(宗派によっては香・華・灯燭などを置く場合は焼香壇とする)が、またその下壇の中央奥に引違い戸があり(猫戸)、その中に分骨された遺骨を納める場合は、納骨堂としての法則、遺骨を納めないで遺品等を納める場合は、宝物殿としての役割があり更に引違い戸の前に五具足(花立×2・燭台×2・香炉×1)を置く場合は焼香壇に。但しこの場所を余間壇として過去帳等を壮厳する設計が施されています。
一番上壇の須弥壇は須弥山(しゅみせん)の頂上の事で、仏典でよるとこの山はとてつもなく大きく海面下と海面上を合わせると、その高さは16万8千由旬、日本流に訳すと実に約117万6,000キロもあり、海面上だけでも58万8,000キロメートルあるとされ、その頂上も直径56万キロメートルと途方もない大きさで、その頂上に喜見城という城があり、そこに如来や菩薩が到来し、しばし逗留すると教示しています。
須弥山とは仏教の世界観・宇宙観のことであります。
仏壇の中はこの須弥山の宇宙観としての壮麗な思想があり、そこに如来や菩薩を迎えるにふさわしい法則を満たし、しかるのちに示現された如来や菩薩に先祖や現世の人達の生業の教示や加護等を祈願する礼拝壇として万感の思いで伝えられてきた形式が、伝統型の仏壇なのであります。
ちなみに須弥山がなく棚壇も少ない家具調と称される形式のものは、法則が異なる形状が多いようです。しかし洋風化されて来た住環境に位牌壇としての思いを主に造られているのが多いようですが、今後前記法則に基づいた形式が研究されるでしょう。